1.発信元
ケンブリッジ大学のベス・ショー氏ら研究グループ
2.概要
紀元365年にアレクサンドリアを壊滅させた大津波。それと同規模の津波が地中海地域を襲う可能性があるという新しい研究が発表された。
365年の津波の原因は、ギリシャのクレタ島の沖合で発見された地質断層が大地震中にずれたからだと一部の科学者は主張している。新しい研究によれば、マグニチュード8を超える大地震がおよそ800年ごとに地中海地域を襲う可能性があるという。しかし、このような巨大地震の発生頻度を予想するには対象の断層に関するデータが不十分であり、365年の災害は特殊なケースだったと主張する科学者もいる。
3.詳細
新しい研究の著者グループは、クレタの海岸に沿って帯状に存在するサンゴ礁や藻類などの海洋生物の化石を調査測定した。「古代の海岸線は海面上の断岸に刻まれている」と研究の筆者の1人であるケンブリッジ大学のベス・ショー氏は述べる。「Nature Geoscience」誌に発表されたこの研究では、クレタ島西部が突然隆起した年代を特定し、隆起と古代の津波の間に強い関連性があるとしている。
研究チームは、隆起の年を365年から数十年以内に絞り込んでおり、隆起が一度の突発的な衝撃によって発生したという考えを支持している。「10メートルの隆起とは驚くべき規模だ」とショー氏は言う。「思いがけなくも、この大隆起がすべて365年の地震で発生したことをわれわれの研究結果が裏付けることになった」。
ショー氏のチームは、古代に地中海を揺さぶった津波の規模をコンピューターモデルを用いて推定した。その結果、海岸によって衝撃の規模に違いがあることが明らかになり、推定結果は地中海地域の被害の歴史的・考古学的な証拠とも一致した。研究チームは、クレタの海岸線の調査測定から隆起の原因となった断層を特定した。
大地震の震源をたどっていった結果、ヘレニック海溝と呼ばれる海底の亀裂に沿ってこれまで知られていなかった断層が存在することを発見した。新しく発見されたこの断層は、2つの大陸プレートがぶつかる地帯に沿って走るより大きな断層の近くに存在する。
「一方の断層は滑りやすく、ずれが穏やかで地震は起こらないが、もう一方の断層は大地震中にまれにずれ津波を引き起こす」とショー氏は語る。研究チームは、衛星を利用した全地球測位システム(GPS)を用いて大陸プレートの移動を測定し、この“頑固な”断層に蓄積しているエネルギーの量を推測した。その結果、この断層は約800年に1度の頻度でずれを起こして巨大地震を発生させると推定した。
4.コメント
地震を引き起こす10数枚のプレートの動きは、その境目でひずみを累積する働きをし、耐え切れなくなる地盤が反動を起こすことで地震に繋がる。中でも低角度ですり上がるように切れる逆断層系の動きが海中で起きると大津波を起こすといわれている。こうしたものは、大地震の繰り返しにより大災害を繰り返し起こすことが知られている。今回、明らかになったこともそうしたものの一つと考えられる。
<参考資料>
1)繰り返し地中海地域を襲う巨大津波(ナショナルジオグラフィック)よりH21.01.08
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2009年01月08日
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